グリーンベルのメープル、プレカット小屋キット

 

  作業小屋、製作の手伝いを頼まれた。設計図は付属するが、詳しい作業手順書はない。そこで組み立て顛末を紹介することにした。

  材は、ほとんど2×材とOSB?合板、構造合板のキット。台座材、2×材、下地パネルはカット済み。ドア、窓は完成品。ドアハンドルは組みつける。屋根材は規格品、外国製だろう。壁材は塗装したOSB?合板。ドア枠やドア、窓枠には塗装はない。ビス、釘類、金具は付属。基礎は付属しない、上物だけ。足場はなく脚立だけで作業できた。

  作業員2人、1日の作業は午後1時から5時までの4時間、延べ日数18日、延べ時間72時間。私と施主が作業に当たった時間だ。施主が一人で行った作業やそのほかの人数は含まれない。作業日がかなり開く時もあった。
  初めての作業だし、余分な作業ややり直し、作業時間も半日単位なので思った以上の日数がかかった。
  部材や作業の意味が分からないと前へ進めないので、ほとんど進まない日もある。知識があれば自明なのかもしれないが、素人にとっては分からないことだらけ。後から気付く点も多々あったが後戻りは出来ない。やはり、こういったキットには写真付き作業手順の行程マニュアルが欲しい。

道具

実際使った道具を上げてみた。

  • 電動ドリル
  • フォースナービット(台座の座掘り)
  • ドリルスタンド(正確な垂直穴開けにはやはりスタンドが必要)
  • 15mmドリルビット(アンカーボルトを通すための穴開け)
  • 21mmドリルビット(ドアノブ取り付け穴、22mmが指定)
  • インパクトドライバー(ネジ箇所は多い)
  • ボックスレンチ(アンカーボルトの締め付け)
  • ポニークランプ(壁の桟を作る際に使った)
  • Fクランプ(仮止めや、ねじれた材の矯正)
  • ゴムハンマー(材を傷つけないでたたける)
  • ブルーシート(出来上がるまでに雨が降る)
  • スライド丸ノコ(サイディングの切断)
  • ジグソー(サイディングの切り欠きや窓の穴開け)
  • コンプレサー(タッカー使用)
  • タッカ−(下地パネルなどの仮止め)
  • ハンドタッカー(防水シートなどの仮止め)
  • レーザー水準器(ドア枠取り付け)、角度定規、水準器(サイディング張り付け)

失敗

ここは失敗だったと思われる点は次の通り。
1.前後の屋根の三角骨を乗せるときに、前後だけベニヤが張り付けてある。ベニヤの厚さを考慮せず組み立ててしまった。下の壁の下地とのツライチのため更にベニヤを前後の三角部分に張ることになった

2.壁の骨を作るときに垂直を確認しなかったため、ドア枠との間に隙間が出来た
3.ドアの蝶番の掘り込みが深すぎた
4.一部、サイディングの水平を確認しないで取り付けてしまった
5.ドア枠の出が少なかったので、サイディングの端がちょっと覗いてしまった
6.屋根材を専用釘で打ち付けた際、防水シートを一部破いてしまった。板などを敷いて足場を確保する必要があった。防水シートは破れやすい
7.屋根材取り付け専用釘の打ち込みが甘く、屋根材が一部浮いてしまった。屋根の端は専用釘ではなくビスの方がよかったかも
8.ドアの取り付け穴が1ミリ小さいのが原因か、ドアノブがややきつい
9.ブルーシートをさぼった期間に降った雨でベニヤがぬれて、下のほうが少しカビてしまった

作業工程

  写真を後から合わせたので、若干前後した。

〈1日目〉

  作業初日。基礎は業者によって出来上がっていた。キット部材と設計図の確認。まず基礎と土台を接合する。土台は90×90mm角の垂木。防腐処理がしてある。基礎に取り付けるためには、15mmの穴開けと座掘りが必要。座掘りビットと15mmドリルビット〈長めのビットが必要〉。ホームセンターにて購入。
  アンカーボルトの位置を土台に移して、穴掘り。先に座掘りした後15mmの穴開け。ドア側の基礎が寸法違いではつることに。
  アンカーボルトが短いのか、届いた土台用角材90×90mmが違うのか、はたまた設計図が違うのか。目の前にあるのは90×90mmの角材。かなり掘り込まなくてはならなくなった。大きなビットはちょっとしんどいので座金を直径30mmの円形に変更、ホームセンターにてゲット。

〈2日目〉

  基礎の上に防湿シートを敷いて土台を乗せる。アンカーボルトの位置に十時の切れ込みを入れる。はみ出たシートは切り取った。熱で塗ってあるコールタール? が溶ける。

〈3日目〉

  後ろの壁と前壁を組む。2×4材はけっこう曲がっている。曲がった材は中に、端に来る部材は出来るだけ真っ直ぐな材を使った。  初めてなのに加え、図面を読み込むのに手間取りなかなか作業は進まない。やっと四方の壁枠が窓枠部分を残し完成。

  各壁パネルの端の接合は木工ボンドも使用した。中には、ねじれた2×4材もある。Fクランプを使用して強制的に押さえつけビスを打ち込む。2×4材とコンパネをサンドイッチに組んである部材も、そのままでは組み上げるのが困難。そんな長いネジなどはない。従って一度各ピースに分解〈ビスを抜く〉してから組む必要もあった。接合箇所でポニークランプが使えるところは使った。接合に使うビスは、ネジが途中までのコースレッド。クランプできるところはクランプしてねじ込むのが安全。

  また、狭い場所では、片付けながらの作業となる。雨よけのでかいブルーシートが必要。

  次回は窓枠部分を完成させ、壁パネルを立てる。

〈4日目〉

  前回やり残した窓枠周りの部材を組んだ。枠だけだが一応全ての壁が立った。ここまでは全て2×4部材のみ。カットしてあるので寸に狂いは無いはずだが、なかなかそうもいかない。部材が1本寸歩が違う。また設計図も一部間違っていた。業者に確認する。素人なので設計図の間違いは致命的。

〈5日目〉

  屋根の三角を載せる。施主がほとんどを作っていた。正確に三角形の角度を保持するには一人ではきつかったろう。

〈6日目〉

  屋根のコンパネを打つ。中央の少し大きめのコンパネから始め、パネルは全部で10枚。エアタッカーで仮止めして、スクリュー釘を打つ。2人作業なのでロープでつり下げながら、順に打ち付ける。若干の隙間はご愛敬。シール剤を充填する。防水シートで覆えば問題ないだろう。

〈7日目〉

  不備な設計図を読み解きながらで、作業ははかどらない。今日は屋根の防水シートを張って、屋根周りの仕舞いを若干やっただけ。不明な部材も何とか収まった。

〈8日目〉

  屋根周りの仕舞いを完成させる。なんとか収まった。どこに付くのか不明だった部材も作っていくうちにここだと判明する。強度に関係のないところなのでタッカーで止めた後ビス留め。割れやら隙間など出来たが、ま、問題ないだろう。「ま、いいか」が、口癖になる。一度建ててみなければ分からない。失敗だらけなのだが、何とかごまかしながら少しずつ進む。次はもう少しうまく出来そう、たぶんもう機会がないのが残念。

〈9日目〉

  2週間ほど作業が中断した。本日は屋根材を全て張る。重い屋根材を運んでは打ち付けていく。スリットを合わせながら交互に張っていく。素人大工では足場などはない。慎重に進める。落ちたら骨折は免れない。専用の釘で打ち付ける。ホームセンターでは見かけない釘だ。これでブルーシートをかぶせる必要はなくなる。

〈10日目〉

  屋根の最終工程、センターというか尾根部分。屋根材のシートを3分割して打ち付けていく。屋根完成だが、送られた屋根材40枚2セット余った。余分にしては多すぎる、不安になる。壁用下地コンパネを一部張る。窓が入ることを確認。入り口ドア部分の組み立てを考える。送られた部材がすべては入らない。考えてばかりなので作業ははかどらない、ただ失敗してもなかなかやり直しはきかないので勢い慎重になる。次回は壁の下地コンパネを張れるだろう。

〈11日目〉

  壁周りに下地コンパネを張り付けた。エアガンのホッチキスで仮止め。ビス留めはこの後、施主が次の作業日までに行っておく。隙間に充填剤を入れる。

〈12日目〉

  今日はドア枠の設定。柱が若干だが垂直が出ていない。寸法が決まった材を使っているのだが、やはり狂いは出る。早い段階で気付くべきだった。やむなくドア枠を無理矢理垂直にセット。ドアの余白は5mm程度とした。うまくはまればよいが。次回までに施主がドアハンドルの取り付けを、端材で練習しておく。

〈13日目〉

  ドアの取り付け。端材でドアノブ取り付けの穴開けテストを先に行った。蝶番の位置に掘り込みを入れドアノブを取り付ける。結局隙間が多いため蝶番掘り込みは埋め戻した。余分な作業が多くドアの取り付けだけで終わった。ドアノブ取り付け、ペンキ塗りは施主が行った。戸当たりにゴムも張り付けていた。

  ドア枠にドアを付けてから施工したかったのだが、ドア枠部材に下部分が無い設計のため別々に付けた。難しい作業になった。やはり枠とドアを一体で作る必要がある。枠ごと壁にはめ込むべき。

〈14日目〉

  窓の取り付け。壁の防水シートを木工ボンドで一部貼り、サイディングをスクリュー釘で打ち付けた。壁が出来るとぐっと違う。時々水平に気をつけなければならない。長めの水準器を使う。

〈15日目〉

防水シートを壁に張り終える(木工ボンド使用)。前面壁のサイディングを一部張る。これで今日の作業を終了した。

〈16日目〉

  いよいよ最終工程、壁材を張るのみとなった。部材の切り出しは施主が行っていた。能率よくひたすら張ることが出来た。重なり具合の長さ定規、三角部分の切り出し角度を測る物指しを作った。両端で同時にビスを打つ。

〈17日目〉

サイディングの行程を終了。

〈18日目〉

  サイディングに縁取りして、作業を終了。ビス頭や木口のペンキ塗りなど残して完成とする。